法人成り(法人化)のポイント
個人事業の規模が大きくなってくると、節税や信用力の強化のために法人成り(法人化)を行うこともあると思います。法人化の手続について簡単にまとめたいと思います。
STEP 1 法人設立
法人を設立しましょう。様々な書類を準備して届け出を出す必要がありますが、今はかなり割安で会社設立をサポートしてくれる会社が多いので、是非利用することをお勧めします。自分一人で調べてやるのもいいですが、圧倒的に労力を削減することができます。私自身も会社設立の際はおよそ2万円程度の手数料で会社設立代行サービスを利用しています。
STEP 2 資産などの移行手続
このSTEPが一番税務上ポイントになると考えています。
個人⇒法人へ資産を移行する方法は基本的に3つです。①売買契約による方法、②現物出資という方法、③事業用資産を個人の所有にしたまま法人に賃貸する方法です。結論から伝えますと、時間的・費用的なコストを考えた場合、①がベストだと思います。
②は様々なデメリットがありますが、現物出資の場合は所得税の対象となります。個人の資産をいったん時価で売却して、その金額を出資したとみなされるため、譲渡所得の対象となり、税金を納めることになってしまいます。また、現物出資の場合は手続が煩雑になるため、代行サービスを使ったとしても費用が高額になってしまうことがあります。
③の場合、例えば建物を法人に賃貸することとしたら、せっかく法人化しようとしているのにもかかわらず、個人側で不動産収入が生じるため個人側でも確定申告が必要になってしまいます。また、個人の資産であるために、事業用資産が相続の対象となってしまい、会社としての事業の継続が危うくなる可能性があります。
このように、②&③の場合は様々なデメリットがあるため、①をお勧めします。
具体的には、個人・法人間で売買契約を結ぶのですが、この時に売却価格を簿価で設定することで、個人側で売却益を出さないように調整することができます。売却益がでないので所得税は発生しません。簿価は税法で認められている評価方法であり、時価として利用可能です。簿価売買契約書等については、Googleで検索すれば簡単にテンプレートがあると思いますので、一般の方でも契約書を作成することができます。もし、移転する資産が不動産などで高額な場合は、例えば35年の分割支払いのような形で契約を結ぶことで、設立したての法人でも分割で支払いを行うことができるのではと考えます。
STEP 3 設立後すぐに必要となる手続
以下のような書類の他、年金事務所に対する届出や労働保険への加入手続等が必要となっていますが、こういった設立後の書類についてもSTEP 1で利用する会社設立サービスに含まれていることが多いかなと思います。設立後の書類に関するサポートの有無も念のため確認したうえで会社設立サービスを利用しましょう。
・法人設立届出書
・青色申告の承認申請書
・給与支払事務所等の開設届出書
・源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書
STEP 4 個人事業の廃業手続
個人事業を廃業し法人化する場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書 」を所轄の税務署に提出し、個人事業を廃業する手続きをする必要があります。また、上記の税務署への届出に加えて、所轄の都道府県税事務所への「事業開始(廃止)等申告書 」の提出も必要になっています。
以上、法人成り(法人化)の手続のポイントでした。手数料が安い外部サービスを利用すること、資産の譲渡について売買契約を結ぶことがスムーズな法人化のポイントです。
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